北山窯の敷地奥には、土の傾斜に沿って築かれた登り窯があります。
開窯当初からこの地で火を守り続け、
多くの作品がこの窯から生まれてきました。

登り窯は、山の斜面を利用して複数の焼成室を連ねた窯で、
薪の炎が上段へと流れることで、
自然の力を最大限に生かした焼き上がりを見せます。
火の勢いや風の向き、湿度や薪の種類によって、
同じ作品でもひとつとして同じ表情にはなりません。

焼成の期間はおよそ三日三晩。
夜通し火を絶やすことなく、窯の温度を見極めながら炎と対話します。
土の声を聴き、火の呼吸を読む。
その緊張と静寂のなかで、器はゆっくりと命を宿していきます。

現代では電気窯やガス窯が主流となりましたが、
登り窯ならではの深みある色合い、
灰が溶けて生まれる自然釉の景色は、他の手段では再現できません。
その偶然の美こそ、北山窯が守り続ける作陶の原点です。


■ 登り窯の特徴

  • 山の斜面を利用した連房式構造
  • 薪を用いた酸化・還元焼成
  • 自然釉による独特の発色と質感
  • 炎と風の流れによって変化する表情

■ 焼成について

  • 焼成期間:約3日間
  • 使用燃料:赤松など乾燥した薪
  • 焼成温度:約1300℃
  • 窯出し:焼成後、自然冷却を経て約1週間後に開窯

■ 炎と土が紡ぐ美

登り窯の焼成は、炎・風・土・水のすべてが交わる総合芸術です。
自然の力を受け入れ、制御しようとせず、
そのままの美しさを器に写し取る。
それが北山窯の作陶に流れる哲学です。


■ 見学について

登り窯の見学をご希望の方は、
安全管理のため事前にご連絡ください。
焼成期間中は一般の立ち入りを制限しておりますが、
窯開きの時期には窯場の見学も可能です。